Coldplay 2

 通して聴いて3度目。
 これは文字通りの傑作。将来00年代(笑)の名盤10選とかいう企画あったら必ず、前作とともにエントリーされるであろう。前作も力作であったし、「ポリティック」は世紀の名曲だ。
 今回はでも、何というか全体で1曲の叙事詩というか…。間断とするところが全くない。 
 前作が900万枚売れたが、この数字は「おどけではない」。浜崎あゆみのアルバムの20倍の売り上げなのだ。多様化する音楽シーンの中で、はやりの音は1つも使ってない。というか使う必要がない。何でもかんでもヒップホップかよ!とかそんな、どこぞの国のお気楽音楽シーンとは無縁。無骨なまでのロック。でも、この胸に迫ってくる切実感。 
 3曲目「ホワイト・シャドウズ」

「幼いころ一生懸命耳をそばだてていた 自分も この人類の仲間だと すべての星々の瞬く宇宙 その世界に属していると 君は欲しいものを手に入れるかもしれないし、逆につまずくかもしれない 永久に変わらないでほしいと望んでいたこと 自らの中で確かめろ きっと君は自分の完璧さ気づくだろう 変わらずにずっと そのまま不変のもの」 
 
 これはジョン・レノンの「アクロス・ザ・ユニバース」のコールドプレイ版だ。 
 そう。不完全で自己嫌悪したくなる、この自分の中にしか答えはない。そしてそれに気づくかどうかで、たぶん「生かしてもらえる」地平が開ける。 
 
「おまえは、おまえが考えているほど捨てたもんじゃない」。そう彼らはそう歌う。 
 ロックであるのは、決意を促している点にある。うざったいことかもしれないが、1人1人に「ところであんたはどうさ」と。お互いの傷をなめ合うような、甘さや聴き手への媚びがないのだ。

 安易な「人類みな兄弟」「愛は地球を救う」「愛こそすべて」に流れない。ロックだ。臭いほどに。でもとても懐かしい。