デラックス・エディション2題

 1つ目は、ニルヴァーナに代表されるアメリカのオルタナグランジミュージックの開拓者であるソニック・ユースのメジャーデビュー盤である「グー」(1900年)
 アウトテイク&リハーサル、デモなどたんまりついている。とにかく曲が素晴らしいので、愛聴盤なのだが、ただ1つ不満があった。グランジサウンドの核であるファズ轟音ギターの音が、特に大きな音で聴くと正弦波でも聴いているみたく、心地よさから逸脱して苦痛になる点だ。当時のCDの欠点だろう。
 今回のリマスターでは、轟音歪みノイズギターが、きちんと脳の快感分野に着地してくれる。気持ちいい!ニルヴァーナはイマイチ好きでなかったが、今度リマスター盤で聴いてみよう。
 2つ目は、知る人ぞ知るポール・ウエラーのソロ最高傑作「スタンリー・ロード」(1995年)のデラックスエディション。
 26曲もデモやライブバージョンが追加され、しかもDVD付き。さらに丁寧なリマスターでギターの音がさらに艶やかになった。
 うれしいことにビートルズの隠れた名曲(ていうか奴らの場合、名曲でないのはほんの数曲だから嫌になるんだけど)「セクシー・セディ」(ジョンの作品で、ホワイトアルバム収録)のカバーまである!
 ジャケットは真ん中のがオリジナル。その周りにジョン・レノンの肖像写真やレーベルマーク、エッフェル塔の絵はがきなどがコラージュされている。
 にしても、このアルバムは傑作だ。小気味いいタイトル曲から、しっとりバラードの「ブロークン・ストーンズ」へ移るとこなんかは、何度聴いてもゾクッとする。
 パンクバンドにくくられたジャム時代も、スタイル・カウンシル時代も頑固一徹なロック小僧、オヤジな彼らしい。