先週、モウカザメの身をフライにした、フィレオ・フィッシュならぬサメ・バーガーを試食した。
 いやあ目からウロコ。「普通に」うんまいのだ。
 「いくら調理を上手にしても、臭みが残るか、臭みを取るために香辛料の匂いがきついんだろう」
 「サメの身だろ。ぐにゃっとした食感はどうにもならんだろうなあ」
 と思いつつ、全く期待しないで食ったが、これが歯ごたえこそさすがに「ある」とは言えないが、そんなのあのクドクドマルドのティラピアバーガーと同じ。
 しかもティラピアバーガーの方が臭いじゃないか!
 味付けは塩コショウのみ。モウカザメはサメの中でも身がしっかりしており、漁獲されて3、4日で水揚げされるため鮮度もよく、アンモニア臭はもともと薄いという。
 フライだけも口にしたが、これもいける。気仙沼に来た家族連れが、子供が魚嫌いで別メニューを出す場合もあるそうだが、気仙沼以外で漁獲されたエビフライを出すのだったら、これを出せばいい。
 フカヒレは家族で楽しみ、大人はモウカの星で一杯やり、こどもたちはサメバーガーを食べる。まあ家族全員で食べてほしいが、こりゃいい。
 しかも年間4000トンほど水揚げされる主要魚。気仙沼のシェアは全国の9割だ。
 サメといえば、ヨシキリザメは臭みが強く、身もぐんにゃりしている。夏場、魚市場の取材に行って、このヨシキリザメの近くを通るだけで、衣服に匂いが染み付いて閉口する。
 ヨシキリの身を使ったナゲットはコリアンダーなど香辛料の香りが強すぎたが、モウカはそんな心配はない。
 県が音頭を取っているが、可能性はとても高い。手間がかからず、安い。そしてうまけりゃ問題はない。
 気仙沼で生きているのに、いやだからこその紺屋の白袴であった。