見出しの妙技
今日の全国新聞各紙に並ぶ横綱・朝青龍の二場所出場停止処分の記事。
これが各紙比較すると、何とも趣きがある。
まず一番、扱いが大きいのは「サンケイ新聞」。
1面トップ。社会面肩、3面トップ、スポーツ面、そして論説でも厳しく非難。
見出しも「お騒がせ朝青に厳罰」「協会やっとガツン」「ファン裏切り 処分妥当」「日本文化 無理解」と手厳しい。
次いで「読売新聞」
こちらも1面トップ。社会面肩、3面で特集と、こちらも全面展開。
見出しは「傷つく品位 綱に厳罰」「相撲協会 放任のツケ」とビシバシやっている。
「毎日新聞」。
1面肩。第2社会面トップ、スポーツ面、コラム「余録」で触れている。前の2紙に比べるとやや大人しめ。
見出しは「きっちり処分」「相撲ファン裏切り」「軽率な行動」と、やはりややトーンダウンするが、まあ協会の体質もあるので、やや冷静さに重きを置いた感じか?
さて「朝日新聞」。
1面にあることはあるが、トップ下という三番手の扱い。しかも見出しは4段と「破格」の小ささで、しかも重大さを感じさせる、見出し手法の一つである「黒地白抜き」というのもなし。実に地味な扱い。
第2社会面トップ、社説でも触れているが、センセーショナルな報道が大好きな(?)新聞にしてはなぜかとても小さな扱いだ。
見出し。「やんちゃ横綱に罰」「ずる休みは禁じ手」。
うーむ。ここが朝日の凄いところだ。
「やんちゃ」「ずる休み」「禁じ手」という言葉の選択の妙技を見よ!全部、本質的なことを隠し、事件性を薄め、問題を矮小化させる、このプロの技。他社は実情に近い「厳罰」という言葉を選択しているのに「罰」。
これも実に巧妙だ。「○と×」の「×」にかけているのか?どうだろう。でも何となく掛詞的、比喩的な感じを醸し出しており、そこはかとなく「チョンボ」的な色合いがつく。実に実に老かいだ(笑)ついでに、この新聞の「罪と罰」まで考えさせられるという趣向か?まさか。
自らが大問題にしたいときには、信じられないほど痛烈で、嫌みたっぷりで、しかも問題を大きく見せかける見出しをひねり出すのと合わせて考えると、常に世論誘導テクを磨き上げてきただけはあるーとはうがちすぎか?
東北の地方紙、河北新報の扱いは、1面トップ下ながら黒トッパンで、6段ぶち抜き見出し。社会面トップ、スポーツ面でも展開。まあ扱いはやや地味だが、「お騒がせ朝青龍に協会我慢限界」「親方衆 怒りの最後通告」と、舌鋒は鋭い。
朝日と他紙の一番の違いは、朝日の「やんちゃ」と他紙の「お騒がせ」。
なぜこんなに扱いが小さいのか?
赤城農相更迭を目立たなくしたくないのだろうか?まあそれは打倒・安倍自民の報道をこれでもかと続けてきたから理解できなくもない。
にしても扱いは小さすぎる。
相撲協会との関係?アジア諸国に対する、いつものご配慮?国歌、国旗というものが大嫌いな流れで、国技もお嫌い?
まあスポーツと国家的なもの、権威的なものを絡ますのが、お好みじゃないようだ。自ら主催する高校野球大会を見ていると、この新聞の建前と本音、現実と理想がねじれにねじれているのがよく分かる。考えようによっては哀れではある。
従軍慰安婦でマッチポンプし、毎日新聞でさえ(とは失礼だが)、狭義の強制性をきちんと検証すべきとしているのに、まあ振り上げた拳のなんとやらだろう。
本当に朝日はいろんなことを教えてくれる。
かつては教師だった過去もあるが、いまや一番の反面教師である。感謝しよう。
ちなみに私の「やんちゃ」批判はこれでんがな↓
http://www008.upp.so-net.ne.jp/gittyom/norio/n_essay/noriess89.htm