イーノのDVD

 ビデオ作品で1881年に発売された「Mistaken memories Of Mediaeval Manhattan」と84年作「Thursday Afternoon」のカップリング。「14 video paintings」の題で先月リリース。
 両者とも今では入手困難なので、これはうれしい。
 前者は、当時イーノが住んでいたニューヨークのアパートから見える風景をソニーのビデオで固定して撮影したもの。しかしそれが縦横が逆。つまり横になって、窓の外を見ている風景。寝そべってテレビを見ていて、その映像がまるで抽象絵画のようになることを面白く思ったイーノが、ビデオを横に倒して固定撮影した。
 モニターを横にしたり、見る方が寝そべると上下が一致して窓の外の風景になるが、それを横倒しで見るという発想は実にイーノらしい。音楽は当然アンビエント。タイトルを直訳すれば「中世風マンハッタンの間違った記憶」。頭文字が全部Mだから、まあ言葉遊びでもあるのだろう。
 後者は、比較的有名な作品で、裸の女性にボディーペンティングした映像。ゆらゆらと、ゆがんだりしながら水彩画のように続く。これも縦横が逆なのが面白い。印象派絵画を見ているようだ。
 「聴くのではなく聞く」という音楽の存在の仕方を提示したアンビエント音楽と同じで、じっと見る必要はない。ぼーっと眺めたり、目の片隅で動いていたり、あるいは無視していもいい。音楽だけ聞いてもいいし、映像だけ眺めてもいい。
 イーノらしいね。こういう映像が流れるのが似合う部屋がほしい。いまはコタツで見ている。それも悪くはないけど。ノートパソコン持って、いろんなとこで眺めてみるのも楽しいかもしれない。