センチメンタルな傑作

 写真は前に、紙ジャケットCDとして再発された3作を紹介したアンソニー・フィリップスの最高傑作という評価が高い「スロー・ダンス」(1991年作)。
 ボーカルなしの、インスタルメンタル。当初はLP発売のためパート1、2に分かれているけど、都合50分の大作だ。
 まあ何というか、洋楽ファンに分かりやすく言えば、マイク・オールドフィールドとキャメルと、ジェネシスと、ルネッサンス、バークレィー・ジェームス・ハーヴェストのエッセンスを凝縮したようなというか…。
 意外かもしれないが、日本の加古隆さんとか、姫神イージーリスニングの巨匠、ポール・モーリアと、クラシックでいえばバロック、それに中世イギリスのケルト音楽をまぶしたような(^_^;
 主旋律と副旋律が、長調短調をめまぐるしく入れ替えながら、アコスティック・ギターとシンセサイザーオーボエをフューチャーしたオーケストラが絶妙に絡む。ここが肝心なのだが、大仰に謳い上げていない点が、とても上品。
 お涙頂戴といえば、そうかもしれないが、懐かしめの映像を眺めながら聴いていると、静かな感動が広がる。
 中年男に最も似合わない「おセンチ」な気分に、こっそりと浸りたい人にお勧めです。ぜひお試しを。個人的には、ハマってます(^_^;