Pokeewo!
当然、BGMは「TOKIO」にすべきなのに、「RYDEEN」にするところが、実にYMOらしい。
今回、高品質盤&紙ジャケットでYMOのオリジナルアルバム10作品が再発された。
あらためて全作品を通して聴くと、その変化がとても腑に落ちる。
1stは、アジア版クラフトワークというか、欧米人が抱くアジア的、要するにチャイナ風の音世界が、チープかつモダンだ。
2nd「Solid State Survivor」は、日本色が濃くなる。個人的にはやはり最高傑作だと確信している。「20世紀のお神楽」または「祭り囃子」だと今でも思う。細野、坂本、高橋3人の楽曲の個性がはっきりしたアルバムだ。Beatlesの「Day Tripper」のカバーは面白いが、失敗だと思う。
ライブ「公的抑圧」「増殖」に続いて、「BGM」というとてつもなく暗いアルバムが発売される。「バレエ」「キュー」「マス」というほの暗くも美しい名曲が詰まっている。特に「キュー」は、彼らの代名詞的曲だ。
そして細野さんが10年前のインタビューで自らが生み出した音楽で最高傑作と断言していた「Technodelic」。「ジャム」をはじめ、すべてが洗練されており、「行き着くとこまで行き着いた』(細野談)とは言い得て妙。
そのため発表後1年間、休眠する。
そして次が、衝撃的だった「君に胸キュン」を含む「浮気なぼくら」。実は、発売当時、とてもがっかりした思いがある。笑えたが、魅力的ではなかった。ところが、この年になってじっくり聴くと、やはり細野さんが言ったことだが「Technodelic」の日本語版。「君に…」が歌謡曲みたいだと感じたが、それを狙ったとはいえ歌謡曲とはまるっきり違う。そして他の曲は、一つ一つの音の選び方など、極めて前衛的なのだな。
その後、「サーヴィス」、散開コンサートを収めた「アフター・サービス」を発表して、バンドは終わった。
細野さんと坂本教授は過去の怨讐を超え、また「遊び心」が復活したみいだ。ぜひ新曲を聴いてみたい。
CMはその助走だといいな。
「BGM 」収録の細野さん作曲の「マス(MASS)」のライブ音源。この全体主義的な音の暗く、しかし何と魅力的なことよ。教授のエレピ風のキーボードが素晴らしい。↓